私は信州の小さな町で生まれました。そこは日本で最も海から遠い町です。幼少期は病弱で、そんな私の唯一の楽しみは病院のベッドの上でスケッチブックに向かう時でした。いつの間にか絵を描くことへの情熱が芽生え、それを一生の仕事にしたいという夢を抱くようになったのです。18歳で上京し、美術大学で日本画を学びました。卒業後は東京の中学校で教師として働き始め、現在は大学で教鞭を執りながら幼稚園児に造形を教えています。教育者としての経験は、作家としての活動を支えてきました。制作活動を続けながら、学生や子どもたちにアートの魅力や重要性を伝えるのも仕事の一つです。私は人の顔をテーマに制作しています。長年の教師生活や日常の中で、多くの人に出会ってきました。人が取り巻く環境は決して穏やかなものばかりではありません。しかし人は必ず遠くに見える一点の光をみつけ、その光に向かっていく逞しさがあります。
作品の中の若者たちの瞳は、現代社会に生きる迷いと希望の光を見つめています。この展覧会では、1992年に初めて開催された個展での作品から最新作まで、約80点を発表します。今は別のお店になってしまった初個展の会場はこのすぐ近くにありました。32年の歳月を経て再びこの地で個展を開催できることに不思議なご縁を感じます。作家活動を支えてくれた家族、応援していただいた方々があってこそ今の私があります。
この機会を与えてくださった株式会社織部様に心から感謝いたします。
2024年3月
北村武志
【プロフィール】
長野県生まれ
武蔵野美術大学日本画学科卒業
-個展-
2024 ガレリア織部 (多治見)
2022 極小美術館 (岐阜)
2023 極小美術館 (岐阜)
2015 Gallery Hexagone (ドイツ アーヘン)
2015 半原版画館 (瑞浪)
2014 ギャラリー名芳洞 (名古屋)
2012 ギャラリー名芳洞 (名古屋)
2010 ギャラリー名芳洞 (名古屋)
2008 ギャラリー名芳洞 (名古屋)
2006 ギャラリー名芳洞 (名古屋)
2003 ギャラリー北丘 (多治見)
2000 小野画廊 (東京)
1999 ガレリア フィナルテ (名古屋)
1998 ガレリア フィナルテ (名古屋)
1992 ギャラリー瑠碗多 (多治見)
-グループ展-
2024 絵の中に夢を求めて展(ギャラリー絵夢・東京)
2023 MUSA-BI展 in Tokyo (アートスペース羅針盤・東京)
2022 ノリタケの森4人の作家展 (ノリタケの森ギャラリー・名古屋)
2023 ノリタケの森4人の作家展 (ノリタケの森ギャラリー・名古屋)
2021 篠田守男と極小美術館の作家たち (アートスペース羅針盤・東京)
2021 現代美術の作法 (極小美術館)
2020 MUSA-BI展 (極小美術館)
2019~ アートキューブ (瑞浪市)
2018 WE Exhibition 2018 JCAT (Pleiades Gallery・ニューヨーク)
2016 Asia Contemporary Art (ドイツ アーヘン)
2015 Aachen Art Fes. (ドイツ アーヘン)
2014 Art Expo (Gallery Hexagone・ドイツ アーヘン)
2013 End of 2013 (Gallery Hexagone・ドイツ アーヘン)
1999 現代アート東濃ざノ・こんりゅう展(多治見市)
1991~ アール ボコ展 (愛知県美術館等)
-受賞歴-
2022 日本の絵画2022 入選
2019 アートオリンピア2019 準佳作
2018 TYK絵画大賞展 大賞
2017 西脇市サムホール大賞展 入選
2013 熊谷守一大賞展 入選
2016 熊谷守一大賞展 入選
2013 全国絵画公募展IZUBI 入選
-コレクション-
半原版画館
スペース大原
多治見市